畑の味

昔、実家に畑があったころ夏にはギラギラな太陽の下で草むしりをした。
長袖長ズボン、帽子に軍手に長靴。
小さい頃は手が汚れることが嫌いで、お習字や絵の教室に行くのが苦痛だった。
でもそこそこの大人になったときお習字や絵は苦手なままだけど
土を触るのは嫌いではなくなった。
「あなたは手を使う仕事だから・・」と母が気をつかい、草むしりなんてしなくて良いと言ったのだが
強い日差しの中で汗が流れ落ちながら草を刈るのは好きだった。
色々な出来事や頭の中にある憂鬱な思いを忘れさせてくれるような時間だったように思う。
一通り草がなくなると、家族で食べるには少し多すぎる茄子やきゅうりやトマトを収穫し畑でそのまま食べた。
枝からもいだトマトは赤いけれど、どこか青臭く土と太陽と風の味がするようだった。
畑の味・・・

娘がトマトが大好きなこともあり、トマトが冷蔵庫にない日はほとんどないのだが
最近はお弁当に便利なミニトマトやフルーツトマトばかりを買っていた。
美味しいトマトがあったから・・と母が送ってくれたトマトは
畑で作っていたものよりはとても立派で真っ赤だったけど
畑を思い出させた味がした。
ちょっと青臭く、土と太陽と風の味。